カンボジアのボジ子。

カンボジアで2年の仕事を終えて一時帰国中。シェムリアップの美味しいレストラン、手作りごはん・お菓子、たまに観光・旅行ネタ、ダイエット、コスメなど広く浅~~く。

カンボジアの国境の町”ポイペト”ってどんなとこ?後編

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続き、書きます。

先日書いたこの記事の続きです。

前編をまだ読まれてない方は、こちらを先に見ていただければ嬉しいです。

www.bodiko.net

「内戦の影響」の一言で片付けることの出来ない

さまざまな問題を抱えた場所、ポイペトについて、後半戦行きます。

長くなりますがご容赦ください。

 

 

 

ポイペト、水・・・どこ?

友人から説明を受けたあとグーグルマップで確認して驚いたのですが、

ポイペトの田舎のほうには、大きな川や溜池がありません。

www.google.com.kh

これでは、農業用水はおろか生活用水の確保も難しいでしょう。

テレビでよくある「子供が数キロ先まで水を汲みに行く」という話。

ポイペトでは実際に行われています。

井戸がある家はもちろんそこから汲み上げますが、

その井戸を掘るのにもお金がかかります。

井戸がなければ、溜池まで水を汲みに行くほか無いですよね。

 

シェムリアップは、プノンクーレンから湧く水が大地を潤しています。

それはシェムリアップ川となり、やがて東南アジア最大の湖

トンレサップ湖へと流れていきます。

古代4大文明はすべて大河の周りで栄えましたが、

アンコールワット王朝も例外ではないのでしょう。

 

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私が泊めていただいた方の家には井戸があったので、

その水が溜められた水がめで水浴びをしました。

普段は年末年始の断水以外は何不自由なく過ごさせてもらっている私、

ポイペトで久しぶりのカンボジアンスタイルの水浴び。ドキドキ。

入社してすぐ電気の無い島で一泊したとき以来です。

 

水がめの中を覗いてはいけません。無心で水を浴びます。

「綺麗になった」と思うのです。思うことが、大切なのです(笑)

サロンと呼ばれる布を体に巻いて、家の裏手にある水がめで体を洗う私と友人。

慣れた感じで何の躊躇いも無く、そして手際よく水浴びする姿を見て

スゴイなあ・・・と感心しながらふと西の空を見たら、燃えるような夕日が。

水浴び中なので写真は撮れませんでしたが、草原が夕焼けに染まっていくのを

見ながらの水浴びは、なかなかオツなもんですね。

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そんな風に生活用水が確保できず、水浴も洗濯も出来ない人が、

同じ地域に住んでいるんだよな。

と、水がめにたっぷり溜められた水を見ながら思ってはみるものの、

どれほど大変なことかは、私には想像もできません・・・。

 

貧困、出稼ぎ、そしてまた貧困へ

町に仕事が無い。土地の買占めのあと用意された農地は痩せていて、

水も十分に確保できないから、作物が育たない。

そうした理由から、この町を拠点としてタイに出稼ぎに行く人が後を絶ちません。

しかし、カンボジアのパスポートは135ドルとかなり高額なうえに、

首都プノンペンまで取りに行かなくてはならないのです。

賃上げストライキを何度も起こした縫製産業の最低賃金でも月収128ドル。

カンボジアニュースー教師らが賃上げを求めストライキ 

これによると去年1月の時点で教師の最低賃金が100ドルです。

加えて、交通費や宿泊費もかかります。

ポイペトからプノンペンまでカンボジア人が幾らぐらいで行けるのかは

私には分かりませんが、出稼ぎにいかないといけないぐらい

生活に困っている人からすれば決して安い金額ではないでしょう。

 

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(きれいでしょ、プカー・オキデイ)

 

その人たちに残された手段が、タイへの「不法入国」。

カンボジア人の出稼ぎ労働者が雇われるのは、建設系の仕事だそうです。

ポイペトの村の中には、出稼ぎに行って過労や仕事中の事故で亡くなった方も。

そうなったとしても、何も言えないのです。不法入国ですから。

「仕事中の事故」というのは、足場から落ちたり、モノが上から降ってきたり、

あとは電気工事中の感電死もあるとのこと。

 

タイの工業用電圧は380V、日本の200Vよりかなりヤンチャな設定です。

「工業用」と言っても、ショッピングモールやホテルでも

空調設備などに使われています。

日本で電気工事するには国家資格が必要で、試験には実技も含まれています。

資格を取ってからも、実際の工事にあたる前にまた講習を受けたり、

低圧・高圧それぞれの電圧を扱うための研修を受けるなど、

徹底的に教育されるんだそうです。

現場で作業にあたるのはそれほどキケンなことなんですね。

電源切れてると分かっていても工業用電圧の配線を触るのは怖い、と

電気関係の仕事をしている兄は言っておりました・・・。

 

タイはカンボジアに比べてそのへんの法整備や教育も発展しているのでは?

と、タイに行く前は思ってみたりしましたが、

結局は電柱を見上げて「どこも一緒」という結論に。

数え切れない本数の電線が繋がれ、余った分もぐるぐる巻きつけられて、

千切れた電線が人の背の高さまで垂れ下がっていても誰も気にしない・・・。

こわい、こわいっす。

 

シェムリアップに住み始めてから何度も漏電火災のニュースを目にしました。

そりゃ、なるわ、これじゃ、そうなるわ、って思うしかないカオスな電線が

町中を張りめぐっているわけで、家の中を通る配線も同じような感じでしょう。

そういう点で日本の技術や法整備は本当にすごいなあと感心します。

 

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話が逸れ過ぎました。タイへの出稼ぎに戻します。

  

バンコクからタイ側の国境までのバスに乗ると、途中で何度か停車します。

乗ってくるのはみんなカンボジア人。

お正月前ということもあり、大きな荷物を抱えて大勢乗り込んできました。

 

アランヤプラテートの手前に検問があり、そこでバスが一旦停車すると

タイ警察がバス内に乗り込んできて、乗客のパスポートをチェックしました。

パスポートが無い人はそこで降ろされ、罰金を支払って強制送還。

私たちのバスにはそういう人はいませんでした。

(いる場合はだいたいもう少し手前で降りていくんだそうです。)

 

国境付近に居れば、荷台に檻がついたトラックに不法入国者が詰められて

カンボジアに強制送還させていくのを見ることもあるそうです。

ちなみにこの日、タイ側のイミグレは帰省ラッシュが起きていて、

カンボジア人であふれ返っていました。

パスポートを持って働きに行っている人も結構居るということですね。

バスの中には、お腹に6ヶ月の赤ちゃんがいる女性や、

小さな子供を抱えた女性も居ました。

 

労働環境や仕事の内容以外にも問題になるのが、強制送還です。

雇い主から「後からまとめて支払う」と言われ、給料が全額渡されず、

建物が完成する直前に警察に通報されるというパターンもあります。

不法入国者はもちろん、強制送還されます。

その給料が受け取れることはありません。

雇用主のいいように使われても、泣き寝入りするしかないのです。

 

経済特区 

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カンボジアにはプノンペンやシハヌークビルなどの主要地に経済特区があります。

ここポイペトの経済特区は、プノンペンより大きい386ha。

経済特区の周りに民家は無く、

農地にもなっていなさそうな平野だけが広がっていました。

 

ここも、もともとは農民が暮らしていた場所だったそうです。

カジノ建設の時の買占めと同じように、

学校もないインフラも整っていない、そして作物の育たない痩せた土地へと移され、

農村部の貧困は更に拡大していきました。

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これは敷地内の中ほどから門のほうを撮影したもの。

いやいや、どんだけ広いんや!

386haって東京ドーム82個分だそうです。

東京ドーム行ったことないからワカランけど、めちゃめちゃ広いです。

 

中にぽつんと建っていた工場では、ポイペトの人たちも働いている様子でした。

仕事が無い町に雇用が生まれるのは良いことかもしれないけれど、

環境汚染や不当な賃金での労働で苦しむことになる危険性も孕んでいるわけで、

今から工場が増えるなかで起きていくかもしれないよなあと。

 

知っておいてほしいこと

これだけバラバラと色んなことを書いたら

まとまるものもまとまらないのですが(笑)、

 

前編・後編ともに、何度も何度も、書いて、消してを繰り返しながら書きました。

(その結果がコレ?とか言わないでください泣きます)

私が書いた記事はこのブログを消さない限り

いつでも誰でも見れる状態になるわけですから、

いつもの「美味しかった~」って記事とは話が違います。

 

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村の人が話してくれたことをまとめた中に「証拠(数字)」を入れようと試みるも、

いくら調べてもまったく出てこず。

こういう記事で「たくさん」とか「少数ですが」とか

あんまり使いたくないなあ~と何度も何度も頭を悩ませました。

(論文だったら床にたたきつけられるレベルだけど、

これは論文じゃないので・・・と開き直り。)

自分が見る立場になったらすぐ「ソースは?」って言うのに・・・

人に厳しく自分に甘いのはこのこと(笑い

 

それでも私が、見たこと、聞いたことをそのまんまお伝えしたのは、

「ポイペトで暮らす村の方に伺ったお話」だからです。

 

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視点を変えればもっと別の見方があるのかもしれません。

数字で見れば、もっと深刻な問題かもしれないし、

もしかしたら取るに足らないことかもしれない。

 

それに、タイでの労働、経済特区、カジノ、地雷、内戦・・・・

どれも2日で調べられるような簡単なものではなく、

私がここに書く極めて断片的な情報に対して

「それは違うよ!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

でも、私がお話を伺った人は「そう」感じているのです。

複雑に絡み合って生まれた貧困の中で、

苦しみながら生きている人がたくさん居るという事実は、

確かにここにあったのです。

ですから、そういう「一面」があるんだという風に

捉えていただければと思います。

 

背伸びして書こうとしたら上手くいかなかったので、言い訳です(笑

 

ほんとうの「貧困」

この記事を書きながらずっと自分に問いかけていたことがあります。

それは、「貧困」とは何かということ。

 

同じ法のもとに暮らしているにもかかわらず、

悪政、天災、個人の病気や怠惰など様々な原因から、

生きていくために最低限必要なものが得られないことが貧困だと

カンボジアに来るまでは思っていました。

 

ですが、こっちに来て、日本に居るときよりも

そういった問題との距離が近くなり、少し考え方が変わりました。

 

生まれた場所、自分、家族、仕事、生活、教育、経済、政治、宗教、

それらの様々なを包括したときに「個人の尊厳」が持てない状態を

継続してしまうことが貧困なのだと、今はそういう風に思っています。

 

ですから、先進国と途上国を相対的に比較した

ステレオタイプな幸福論は、何の意味も成しません。

日本には日本の、カンボジアにはカンボジアの価値観があり、

良い所も生き辛さも、それぞれあるのだと思います。

 

最後に、NPO法人サンタピアップについて

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今回の取材で、サンタピアップで販売している商品の作り手さんの家も

一軒一軒まわらせて頂きました。

コンクリートで出来た立派な家は一軒もなく、

カンボジアでの生活必需品であるバイクも見当たりません。

 

それでも、バラック小屋で暮らす家族のために立派な家を建てるのではなく、

一生食べていけるような仕事や、バイク、井戸を与えるのでもなく、

いつか自立して、自分の手でそれを掴み取るための

基礎教育を受けられるように生活をサポートしていくという

長い長い時間がかかる活動が築き上げたコミュニティが、ここにはありました。

村の人たちに寄り添った、「尊厳」が守られた活動に感動すら覚えながら、

ビデオをまわし続けました。

 

シェムリアップのように美味しいレストランがあるわけでもなく、

インフラも満足に整っていない、NGO・NPOの支援の手が届きにくい僻地で、

現地の人と衣食住を共にしたからこそ

見えたもの・分かったことが、たくさんあるんだと思います。

そして、それがカンボジアの人たちを深く理解するためのベースになって、

この活動のすべてに繋がっているということに気付かせてもらいました。

 

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Give a man a fish and you feed him for a day.

Teach a man to fish and you feed him for a lifetime.

魚を与えれば彼は今日魚が食べられる。

魚の釣り方を教えれば、彼は一生魚が食べられる。

 

よく英語の教科書なんかで出てくることわざ(?)ですが、

まさにそれを体現している関わり方を見せていただきました。

「与える」のは1分でも出来るけど、「教える」となるとそうはいかない。

この諺は単に「与えるのではなく教えなさい」と言っているのではなく、

そういう覚悟があるのかを問いかけているように思えてきました。

 

カンボジアの教育事情って実際どうなの?なんで教育支援すべきなの? | 国際協力NGOCBBカンボジア

色々調べているうちに、数字も入れつつ問題の本質を

的確に指摘されている記事を見つけました。

継続的、持続的な活動の必要性が分かり易く書かれていますので

興味がある方はぜひご覧になってください。

 

・・・長く活動しながら、依存しない・されない関係を作るって

難しいことだよな。口で言うのはめちゃくちゃ簡単だけど。 

 

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「ボランティア」や「支援」に対する考え方は、100人居れば100通り。

答えもひとつではありません。

継続的、持続的と口で言うのは簡単だけど、

自分の「人生」をそのために使うという決断はなかなかできることじゃない。

 

でも、支援をするという事は、

良くも悪くもその対象者の「人生」を変えるということ。

「活動」を「目的」にせず、あくまで「手段」として、

強い信念を覚悟持って、10年間活動を続けてこられた

サンタピアップの活動を見せていただくことができた貴重な機会に、

心から感謝します。

 

 

私も、動画作りがんばるで!

 

ちょっと宣伝

サンタピアップの商品は、関西圏を中心に、手作り市やカフェなどで

手にとっていただくことができます。

Facebookページで随時更新されていますので、

お近くにお住まいの方で、サンタピアップやポイペトに

興味を持って頂いた方は是非足を運んでいただければ嬉しいです。

 

おまけ

美味しかったポイペトのごーはーん(^^)

 

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カンボジアで一番おいしかったコーヒー。下は練乳です。

濃く淹れたコーヒーをあま~くして飲むのがカンボジア流。

 

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こちらはクイティウ。ベトナムのフォーに似た食べ物です。

膝使ってめっちゃリズミカルに作ってくれるおじさんのクイティウ。(笑

お店はお客さんでいっぱいでした。

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クイティウにはブツ切のホルモンが。

こうやって「筒」で入ってると、食べるのにちょっと勇気が要る(笑

 

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ここからは、お世話になった方のおうちのごはん。何らかのスープ。

 

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基本、なんらかのハーブが効いてます。

 

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こちら、「なんらかの草」が入ったスープ。

わけもわからず口に運んでみると、

すごく癖があるんですけど、ついつい食べちゃうおいしさ。

 

スオム ស្អំ - カンボジア食事典 វចនានុក្រមម្ហូបខ្មែរ

あとから調べたところ、この草は「スオム」といい、アカシアの新芽なんですって!

中国語名で「臭菜」というのも納得の香り。

 

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鶏のいためもの。レモングラスたっぷり、ぴりっと唐辛子も効いていて美味しい!

 

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近くの美味しいお店のバンチャェウ。

ウコンの粉で黄色くした米粉を薄く焼いたものに、

もやしやひき肉が挟んであります。お野菜やハーブをつつんで頂きます。

 

一番美味しかったはるさめスープの写真を忘れました(笑

はるさめと大きなキクラゲたっぷりの、コショウが効いたスープです。

何杯でもイケてしまうぜ。

 

どれも美味しかった。ごちそうさまでした(^^)

 

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