カンボジアのボジ子。

カンボジアで2年の仕事を終えて一時帰国中。シェムリアップの美味しいレストラン、手作りごはん・お菓子、たまに観光・旅行ネタ、ダイエット、コスメなど広く浅~~く。

「夜と霧」を読んだ。

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「ホロコースト」を生きた人

奴隷貿易が栄えたセネガルのゴレ島、
多くの命を一瞬で奪った原爆の爆心地、広島の原爆ドーム、
そして、人類史上最大級のホロコーストが行われ、
「絶滅収容所」と呼ばれたドイツのアウシュヴィッツ。
 
この3つはしばしば「世界3大負の遺産」と呼ばれているそう。
どれも二度と繰り返してはならない、人道に反する行為であります。

 

「アウシュヴィッツ強制収容所」に収容され、強制労働を強いられ、

そして生き延びて解放された一人の男性

「ヴィクトール・E・フランクル」の職業は、心理学者。

 

彼は、心理学者としてそこで経験し、分析したことを一冊の本にしました。

それがこちら。

夜と霧 新版

夜と霧 新版

 

 カンボジア在住の友人から借りて読んでみたら、とてつもなく面白かったので、

一気に最後まで読んじゃいました。 

友人いわく、心理学の教科書としても使われるそう。ほうほう。

 

 

ちょっと脱線するで。

アンネの日記、灰の記憶、サラの鍵などなど、

ホロコーストを描いた映画はたくさん存在しています。

ジェノサイドに感動のハッピーエンドなど求めてはいないけれども、

思わず目を背けたくなるような陰惨たる風景が

数十年前にあった「現実」なのだと考えると、それらの映画はあまりに重い。

どれも一度は見た気がしますが、頭の中でいろんな映画のストーリーが

混ざってしまって、はっきりと思い出せなかったり。。w

 

ぶっちぎりで重かったけど、一番ストーリーを鮮明に覚えていて、

何度も繰り返し見た映画、シンドラーのリスト。

195分という見ごたえありすぎる映画です。

シンドラーのリスト スペシャル・エディション [DVD]

シンドラーのリスト スペシャル・エディション [DVD]

 

ホロコーストの中に生きた人々が紛れも無い「人間であった」という事実を、

実業家のオスカーシンドラーを通じて描いた、スピルバーグの名作です。

日々恐怖に怯えながら、選別され、収容され、労働を強いられ、使い捨てられる、

「被収容人」の立場から描かれた作品とは別の視点で楽しめます。お勧めの作品。

 

ホロコーストが行われていた当時、ユダヤ人はただの被収容人ではなく、

安く雇える労働力でもありました。

そんな中、当時あまり普及していなかったホーローに目をつけ、

「自分のビジネスのため」にどんどんユダヤ人雇用者を増やしていくシンドラー。

自分の会社で働く「労働力」として被収容人と接しているうちに、

彼らは死を待つだけの存在ではなく、家族や恋人があり、学や技術があり、

なにより尊厳をもった「ひとりの人間」であることに気づいていきます。

単なるビジネスであると言いながら、ユダヤ教の安息日を気遣って

司祭を部屋に招くなど、相手を理解する気持ちが無意識に芽生える彼と労働者は、

徐々に「人と人」との関わりをつくっていきました。

この映画のタイトルとなった、1200人のユダヤ人を買う(=収容所送りを阻止する)

ためのリストを作り、その代償に莫大な資金を手放すことになったとき、

彼の右腕であるイザックシュターンは言いました。

この……リストは純粋なる善です。このリストは生命です。

その周り、この紙の淵の外には地獄が広がってます

それでも彼は最後の最後に、涙を流しながら自分の無力を責めます。

この車を売れば、この指輪を売れば、あと何人の命が救えたことだろう、と。

そしてこの映画のラスト、ドイツ軍の無条件降伏。

弾薬製造に関わったシンドラーもいよいよという時になると、

「少しでも罪が軽くなれば」と、彼の工場の労働者全員分の署名と

業績をまとめた一冊の本が手渡されます。

そして彼は、自分が救った労働者たちの前から去っていくのでした。

 

―なんとここまで、ずっとモノクロ。一部トーンカラーが使われていますが、

それ以外は本当にずっとモノクロ。それがすでに重い。

最後には、シンドラーの墓に花を手向ける労働者たちが映し出されます。

 

「夜と霧」に学ぶ

この本は、如何に残虐な方法で人々が命を奪われたか、

家族や恋人と引き裂かれ人の心を無くし ていったか、

そういう話がメインではありません。

冒頭でも申し上げたように、この本はある心理学者によって、心理学の観点から、

極限まで追い詰められた状況下でニンゲンがどのように変化していくのかを、

収容・強制労働・解放という3つの場面から分析された作品であります。

職業柄ところどころで心理学の専門用語が出てきますが、

その辺のことも調べつつ楽しめまる1冊でした。

 

逆に、ホロコーストの知識がゼロという人は、おそらく先に被収容者の立場で

描かれた映画や本に目を通したほうが良いとおもいます。

この本ではそういう事を知っている前提で書き進められていますので。

そういう方にお勧めしたいのが前述の映画ですね。

社会科の教科書を見ただけでは伝わってこない人間くさい部分が

リアルに表現されているからです。

被収容者が生きる希望を持った人間だった、そして、

生きる希望を捨てた被収容者には死しかなかったのだと、

そういうイメージを持って読むと、

事実だけを淡々と描かれたこの本を自分で想像しながら読みすすめやすいです。

(私がこのパターンだったので、ついでにシンドラーのリストも

紹介してみた次第。長くてゴメンなさいです。)

 

「夜と霧」から見る世界

「夜と霧」は、人が極限まで追い込まれている環境の中での

人間関係や愛、モラル、性、ときにはユーモアについて、

またそれらに起因する精神状態について、

怒りや恐怖をそぎ落とし、恨みや憎しみを込めず、

冷静で客観的な視点から描写されています。

研ぎ澄まされた真実だけを淡々と積み上げていることのほうが

こんなに恐ろしいことなんだとは、私は今まで知りませんでした。

 

「世界はどうしてこんなに美しいんだ!」

という台詞が飛び出し、鉄の塊のように色も温かさも持たなかった

「事実の積み重ね」から一転するのは、この本の終盤になってから。

極寒の労働で疲弊しきって水のような薄いスープを飲んでいた薄暮時、

「疲れていようが寒かろうがとにかく点呼場に来い」

という仲間の一声に外に出ると、そこには血のような赤に染まり

さまざまに形を変える美しい夕焼け雲。

その真下の景色が排他的な人間によって営まれる収容所だったとしても、

それがいつ終わりを迎える悪夢か分からなかったとしても、

飢餓状態で四肢が腫れ上がり蹌踉たる歩みだったとしても、

人は自然の美しさに見惚れ、心を打たれ、動かされる生き物なんだと。

この節を読んでいたら頭の中に水彩絵の具を流し込まれたかのように

色鮮やかな景色が浮かんで、最高に心地よかったです。

 

読み終わった後に待っているのは、

「人種差別反対!」とか、「同じ悲劇を起こさない、平和な世界を!」とか

そういう意思を持つことでは昇華できないような

何かであることは間違いありません。

死しても尚人として扱われない、尊厳の存在しない高圧線の塀の内側で、

人間の本質をとことんあぶり出し、人が人として生きる事の意味を

問い続ける事でなんとか生き抜いた人の実体験によって読者が受け取るのは、

おそらく「”あなたにとって”生きるとは何か」という問いのみなのではないかと。

 

生きるとは何か

「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐えられる」

というニーチェの言葉が、本編の中で引用されています。

「生きる」ことは、収容所を生き抜いた作者が体現しました。

それは本書の中で知ることができます。

しかし、母親のお腹の中で「いのち」になった瞬間から

何らかの理由で死ぬまでの間誰もが「生き続けている」のに、

「共通の答えがない」という、ある種の普遍性を孕んでいるのかと。

 

本書の中で強烈に響いた2つの文を最後に引用させていただきます。

 

脆弱な人間とは、内面的なよりどころを持たない人間だ

 

そして。

 

あなたが経験したことは、この世のどんな力も奪えない

 

生きるってなんだろう。私は何故生きているんだろう。

考えても考えなくても呼吸はするしご飯も食べるけど、

極限まで、全てを研ぎ澄ませて、初めて手にする答えなのかなー。

 

ああ、また新しい世界を教えてを貰ったな。この本との出会いに感謝。

 

DVD、あるってよ。 

活字アレルギーの方、こんな作品もありまっせ。

夜と霧 [DVD]

夜と霧 [DVD]

 

見てみたいなー。レンタルしてるかなー。

 

 

余談ですが、これぐらいのボリュームのブログ1本書くのに

どれぐらい掛かってるの?と質問受けました。

だいたい40分で書いて、1、2日経って冷静になってから読み返して

可能な限り誤字脱字とへんな言い回し減らしてもこのザマです。すみません。

記事を書くのが、就寝前の私のお楽しみであります(^^)

 

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